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「ひよこは高く空を舞い」について

2007-02-03

[]前口上としての統計曼荼羅(三中 信宏氏) [http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/R/preamble.html:title=前口上としての統計曼荼羅(三中 信宏氏)] - 雲雀は高く空を舞い を含むブックマーク はてなブックマーク - [http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/R/preamble.html:title=前口上としての統計曼荼羅(三中 信宏氏)] - 雲雀は高く空を舞い [http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/R/preamble.html:title=前口上としての統計曼荼羅(三中 信宏氏)] - 雲雀は高く空を舞い のブックマークコメント

三中 信宏氏による。この方は「系統樹思考の世界」の著者でもある*1

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)

統計学を学習するにあたっての前書き。統計学を始める、あるいは舐めるにあたっては必読かと。また、「403 Forbidden」から辿れる「大統計大曼荼羅」は「統計学の世界の鳥瞰」にうってつけ。

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以下、気になったところを写経。

生物学畑の統計ユーザーにとって必要なのは、どのような統計手法が自分にとって道具となり得るのか(なり得ないのか)、そしてユーザーが選んだ統計手法をどこまで責任をもって使いこなせるのか、という問題意識であると私は考えます。

数理統計学という数学の一分野は、とりわけ農学系・生物学系の統計学ユーザーにとっては手ごわい相手と一般にみなされています。その理由はおそらく変量の誤差構造の定量的分析という一見わかりにくいものの考え方にあるのかもしれません。

正規分布の定礎の上にそびえ立つ理論の城を見上げる多くの農学系・生物系学習者は、数理統計学を学ぶためには正規分布に基づく理論体系を会得することが城門の通過儀礼として求められていると思い込み、そして悩み続けています。その悩みのある部分は、学習者の初等的な数学的能力の欠如に起因するのですが、別の部分ははたして正規分布に基づく数理統計学が農学・生物学研究の現場にどれほど通用するのかという疑念に起因しています。生物統計学を実践するには「正規分布を学べ」というスローガンだけでは学習者の心理的動機づけとしては不十分なのです。

いったん開発された生物統計学の手法は、数学的に磨き上げればごく一般的な数理統計学の理論となります。数学的に洗練されてしまうと、データの形式さえ適合しているかぎり、どんな統計的手法でも適用できます。たとえ、その手法の前提条件が満たされていなかったとしても、統計計算はつつがなく完了し、計算結果はきれいに出力され、ユーザーはその出力をみて満足してしまう——残念なことに、この症候群はしだいに蔓延しつつあるようです。

これらの統計学的な疑問に答えるには、まずはじめにデータの変動というあいまいな現象をモデル化したり定量化したりする必要があります。上述のガウス正規分布関数はそのための強力な武器の1つです。しかし現実には正規分布に正確に従うデータはありません。正規分布(あるいは他のパラメトリック確率分布)からのずれが小さいときは、近似的にもしくは変数変換によって、正規分布ベースの推定・検定方法のようなパラメトリックな標準的統計手法を利用するのが常道です。しかし、そのずれが大き過ぎるときには、検出力は多少落ちてもノンパラメトリックな統計手法を用いるべきでしょう。また、最近ではブーツストラップなど新たなコンピューター集約型の統計手法を駆使して経験的に確率分布を生成するというやり方も広く利用されるようになってきました。ベイズ統計学の利用もモデル選択や意思決定の場面では重要です。

生物統計学の「現場」の事情に合わせて、既存の統計学の理論を鍛え直していく試みは今後も続けられていくでしょう——そして、賢明な統計学ユーザーはこのような手法の進歩が今なお続いていることを知っています。

統計学ユーザーに望みたいのは、統計学の世界の鳥瞰です。できるだけ広く遠く生物統計学の裾野を見渡してみようということです。自分の抱えている問題解決にとって、いま使っている統計手法ははたして適切なのか、他にももっと使える方法があるのではないか——この素朴な知的好奇心こそ、蔓延する無思考症候群を予防し、主体的かつ積極的な統計学ユーザーへの道を拓くのです。

*1:この本はnosemさんも読まれてたhttp://d.hatena.ne.jp/nosem/20060720#p3

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